シエナの著名な画家・彫刻家・建築家、フランチェスコ・ディ・ジョルジョ・マルティーニ(1439-1502)がウルビーノのフェデリーコ・ダ・モンテフェルトロ家宮廷で1480年頃に著したと推定される「建築論」は、イタリア・ルネサンス期の建築理論を語る上で画期的な出来事です。
市民用建築と軍事用建築の二つを主な主題とした論述と素描をまとめたこの作品は、レオナルド・ダ・ヴィンチに大きな影響を与えました。この貴重な手稿がアッシュバーナム手稿361葉として知られレオナルドに属したことは偶然ではなく、恐らく1490年頃ミラノでジョルジョ・マルティーニ自身がレオナルドに委ねたと考えられています。現在のところ、レオナルドの私的図書の一部になっていたと伝えられる唯一の本ですが、レオナルドは1506年頃に自身の注釈と素描を書き込み、美しくしました。はじめてファクシミリ版で登場する本書は、わずか数年前に発見され現在レッジョ・エミリア市図書館に収蔵される、新旧軍事機械44種の素描を掲載した4枚の未出版紙葉のファクシミリ版も付き、価値の高い内容となっています。